女優の山田杏奈さんが1日、都内で行われた主演映画『山女』の公開記念舞台挨拶に、共演の二ノ宮隆太郎さん、福永壮志監督とともに登壇した。山田さんは「無事に公開を迎えられてとても嬉しいです」と喜びを表した。
⼤飢饉に襲われた 18 世紀末の東北の寒村。先代の罪を負った家の娘・凛(山田)は、⼈々から蔑まされながらも逞しく⽣きている。ある⽇、飢えに耐えかねた⽗の伊兵衛が盗みを働いてしまう。⽗の罪を被った凛は、⾃ら村を去り、禁じられた⼭へと⾜を踏み⼊れる。そこで、伝説の存在として恐れられる“⼭男”と出会い、凛の運命は⼤きく動き出す……。柳⽥國男の名著「遠野物語」から着想を得た本作は、⾃然を前にしてあまりに無⼒な⼈間の脆さ、村社会の持つ閉鎖性と同調圧⼒、⾝分や性別における差別、信仰の敬虔さと危うさを浮き彫りにしながら、⼀⼈の⼥性が⾃らの意思で⼈⽣を選び取るまでを描いたオリジナルストーリーだ。
今回、演じることになった凛について山田さんは「自分の人生に翻弄されながらも、逞しく生きていて強い人だと最初に感じました」と語り、実際に演じてみて「私だったらその環境に置かれたらあきらめてしまうかもしれないと思うようなことでも、自分の置かれた人生に負けない、屈しない人だなと思って、私もこうありたいと思える逞しさを感じました」と役に力強さを与えられたようだ。
そんな山田さんの魅力について福永監督は「演技力はもちろんですけど、ご自身が持ってらっしゃる、何事にも屈しない感じというか、普段はマイペースに飄々とされていて、その元の明るさ、元気などはどんなことがあっても変わらないという気がして……。今回の凛という役はそういう希望を感じさせる方じゃないと見てて辛くなるというのがあって、何があっても屈しない存在を、山田さんは地に足をつけて演じてくれるんじゃないかと思いました」と起用のポイントを語った。
一方、山田さんは福永監督の現場を経験して「そこに存在するということがものすごく大事だと感じましたし、どうやったら存在していられるんだろうということにずっと向き合い続けた期間だったんですけど……」と話し、「でもロケーションもそうですし、周りの人も、すごく凜としていることが自然だなと感じられる環境でお芝居をさせてもらって、それは福永さんが作ってくださってたんだなと思いますし充実した時間でした」と満足のいく撮影となったようだ。
厳しい環境の中力強く生きる女性を描き、わかりやすく楽しめるタイプの作品では決してない本作ではあるが、山田さんは同世代の人に向け「私個人としては、まず映画館でこの映像を観てもらうことにすごく意味があるんじゃないかなと思います。私たちの世代はいろんなものを冷めて見ている、引いて見てしまう人が多い世代なのかなと思うんですけど、凛もそういう部分があるけど、そんな彼女が自分の幸せのためにどんどん進んでいくストーリーが、現代の若い人にも届くんじゃないかなと思うので、そういう点でも観てもらえたら嬉しいなと思います」とメッセージを送った。
そして最後に「いろんな見方ができる映画だと思いますし、外は暑いですけど、どこか清々しい気分で映画館を出ていただける作品になっているんじゃないかなと思います」とアピールする山田さんだった。
『⼭⼥』はユーロスペース、シネスイッチ銀座、新宿 Kʼs cinema で公開中。ほか全国順次公開。
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