吉川友が、3枚目のオリジナルアルバム『YOU the 3rd. ~WILDFLOWER~』を引っさげた全国5大都市ツアー<吉川友 2015秋TOUR ~WILDSTRAWBERRYを召し上がれ~>を、10月24日の札幌MESSE HALL公演からスタートさせた。
先日まで行なわれていたリリースイベント、およびSHOWROOMで毎週配信しているレギュラー番組にて、吉川が“ノンストップ”という言葉で表現していた今回のツアー。何をもってノンストップなのか。吉川は今回の秋ツアーでは何で魅せてくれるのか。そんなファンの期待を胸に、初日昼公演の幕が開ける。
開演時間を過ぎ、聞き慣れたいつものオープニングSE、そして本公演でライブ初披露となる「アカネディスコ」からライブはスタートする。本人が“吉川ブートキャンプ”と題したこの曲。脂肪を燃焼させる“あのブートキャンプ”をオマージュした振り付け動画もツアー前に公開されており、冒頭から吉川とオーディエンス、会場全員による、楽しみながら全力でのワークアウトが始まる。
その後、吉川友のライブで定番の盛り上がりナンバーが次々に披露される。客席のファンは、ステージ上の吉川に負けじとペンライトを振り、クラップを鳴らし、タオルを振って声援を送る。しかし、送っても送っても、MCは挟み込まれることなく曲が続いていく。
そう、本人の言葉どおり、ライブはアップテンポな楽曲をこれでもかと並べての“ノンストップ”だった。しかも冒頭から。
熱気と運動量で、吉川、そしてファンにも肌に汗が滲んでいく。しかし、アップテンポな曲が並ぶということは、ライブはそれだけ盛り上がり続けるということでもある。誰もが苦しい、しかしそんな状況だからこそ生まれる不思議な一体感が、心の体温をさらに上げて、声援にも熱を帯びていく。
「ありがとうございました! 吉川友でした!」と、“ノンストップ”パートをやりきった吉川は、清々しい表情で、そのままステージから降りようとする。得も言われぬ充実感の中で、当然、ファンは温かく送り出そうとうする。すると今度は「誰か止めてくださいよ! こんなんで終わるわけないじゃないですか。まだまだ続きます!」と吉川が言い出して笑いが起こる。そんな、いつもどおりの観客との距離の近い、アットホームなやり取りも見られた。
しかし、思わず「ありがとうございました!」と、本人がステージを去ってしまいそうになるほどに、そんな吉川を素直に送り出してしまいそうになるほどに、本人にとってもファンにとっても満足度、爽快感溢れる展開は、本ツアーの楽しみなポイントのひとつだろう。なお、ノンストップという今回の企画は、本人が、発売されたアルバム『YOU the 3rd. ~WILDFLOWER~』収録曲の多くに“疾走感”を覚えたことから「駆け抜けるライブがしたい!」と、提案を出したことから企画されたとのこと。
そしてツアーに向けて、吉川は、ジムでのメニューを増やすとともに体を絞り込むなど体力づくりに励んできた。初日の昼公演は、中には若干様子見なスタートだったオーディエンスもいたかもしれないが、“ノンストップ”の意味が明らかになったことで、今後、各会場では、そんな吉川に対して、観客がどこまで食いついていくか。吉川が途中でダウンしてしまうことはあるのか。そんな両者の激しいバトルも繰り広げられそうな予感すらしてきた。
また本ツアーでは、各地でゲストミュージシャンも登場する。札幌公演に駆けつけたのは、北海道を中心に活動するシンガーソングライターの城太郎。そして、城太郎のアコースティックギターをバックに、吉川はロマンティックなラブソング「プラネタリウム」を歌唱する。アルバム『YOU the 3rd. ~WILDFLOWER~』に収録されたこの曲は、吉川友とギターの一発録りだったが、まさに今回は、このレコーディング以来の、そして観客の前では初めての、ギターと吉川のみという編成での楽曲披露となった。
このほか、「アカネディスコ」と同じくツアー初披露となる「こんな愛しちゃ」など、ライブは最新アルバム『YOU the 3rd. ~WILDFLOWER~』収録曲を中心としながらも、ファンが聴きたい吉川友の人気曲や、回替わりでのちょっと懐かしい曲、そしてアイドルという枠を超えた彼女の歌唱力と表現力を堪能できるアコースティックコーナーも用意されている。
吉川友の心地良い歌声とワガママボディー、そしてスリリングな言動。従来のツアーでは、ワクワクとハラハラとドキドキを一度に体験できたが、これに、野獣アイドルの名にふさわしい“攻めの吉川友”と対峙することにもなるのが今回の秋ツアーといえる。
そして何よりライブとは生モノ。札幌公演の後に控える10月31日の東京、11月14日の大阪、翌15日の愛知。ツアーファイナルを迎える11月29日の福岡では、吉川友は一体どんなふうになっているのか。どんな吉川友が見られるのか、何が起こるのか。何をやらかすのか。ちなみに初日の昼公演では、城太郎に今の吉川友の歌を即興で作ってほしいと突然リクエスト(ムチャ振り)したり、前日に初めてジンギスカンを食べたことから、歌詞を“ラム肉”に変えて歌ったりなど、相変わらずのやりたい放題でもあった。
以上、お伝えしたとおり、吉川友のライブはまったくもって予断を許さない。だかしかし、だからこそ吉川友のライブは面白いのである。
「今回、激しめなセットリストを組みましたが、初日やってみて、まだまだ体力つけないといけないなって思いましたね。今、初日の昼公演が終わりましたけど、フラフラです。フラフラフラフープ。ただ、初披露の曲とかあって、すごく緊張してたんですけど、北海道のみなさんが温かくて、ライブ自体も面白かったです。次の10月31日の東京公演では、もっとパワーアップしてぶちかましたいと思いますので、みなさんも体力つけて、東京、大阪、愛知、そして福岡。ぜひきっかに会いにきてください。」── 吉川友
なお、AKIBAカルチャーズ劇場で行なわれる10月31日の公演では、何やら新しいお知らせもあるとのこと。
ライブレポート提供・写真提供:(C)アップフロントクリエイト
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