プラスαのコンセプトでアイドルを売り出すプロデューサーにインタビューする本企画。
第7回は「PIP」総合プロデューサーの濱野智史さんに「キラキラした人を見たい!どうしたらその道を作れるか」というテーマでインタビューしました。
Q:濱野さんのご職業とアイドル業界との関係を教えてください
濱野:僕は情報環境研究者として、インターネット登場以降のメディア環境ついて研究しています。特に「ネット社会のネットから見えない部分をどう知るか?」というのが私の関心です。つまり、実際にはどういう人がネットを使っていて、どういうコミュニケーションをして生活をしているのか。そういう、「生」の部分が知りたいんですね。
そういった観点からライブアイドルの世界をのぞくと、社会学的にもとても面白い。一見すると、「何でこの子がアイドルをやっているのかわからないし、ファンも何で盛り上がっているのかもわからない」なんて現場がたくさんある。でも、どの現場にも必ずアイドルがいて、ファンがいて、それぞれに固有の「理由」や「ロジック」や「作法」がある。それを解きほぐすのが本当に面白くて、アイドルの世界にハマった感じですね。
Q:昔はアイドルとか興味を持ち始めたきっかけは?
濱野:僕はほんとうにアイドルファンとしては「にわか」で、昔は全然興味もなかったんですよ。むしろバカにしていたくらいで。でも、2011年に小林よしのりさんと中森明夫さんと宇野常寛さんのAKBに関する座談会を読んで、「この人達がハマるなら」とAKBのPVを見て興味を持ち、そこからまずは在宅でYouTubeなどを見まくりました。
その後、2012年の1月に北原里英さんの握手会に行ったんです。初めての「現場」でした。これが衝撃的。会場に3万人くらいいたんですが、とても寒いのに、会場にいる人達がめちゃくちゃ楽しそうなんですよ。握手を終えて出てくる人たちの笑顔がとにかく印象的で。で、実際に僕も北原さんの握手に行って、彼女が喜びそうなことをあーだこーだと考えて言ってみたら、ちゃんと握力が「ガッ」と高まった握手ができ、魂と魂がからみあった気がして「コレだ!」と思いました(笑)。もう、そこから気づいたらドップリという感じです。
Q:そしてアイドルを自分でプロデュースすることになるんですね?
濱野:はい。2011年にAKBにハマって、12年に現場に行きだして、13年には地下現場に流出して……そこから14年にはついに自分でプロデュースを始めました。といっても、最初は「アドバイザー」くらいの立ち位置だったんです。ですが、「それだけ熱意と知識があるならもうプロデューサーでやってほしい」と頼まれまして。総合プロデューサーといってもそんな偉そうな立場ではなくて、PIPの業務は、とにかくなんでも全部やってきました。もともと凝り性というのもあり、全部自分でやりたくなってしまうんです。2014年の1月にオーディションをはじめて6月にPIPはデビューしたので、もう一年近く経ちますが、全力投球でのぞんできました。
Q:総合プロデューサーという肩書きの理由と、プロデューサーを「卒業」される理由は?
濱野:総合プロデューサーといっても、本当になんでもやってきたのですが、その中でも現場業務(マネージャー的業務)を「卒業」すると先日発表しました。これは実は当初からの予定どおりで。もともと、メンバー自身にまかせるつもりだったんです。メンバーが自分でできれば、運営がいらなくなり、運営がいなければ、運営が貰っているお金がメンバーにまわせる。そうして、アイドルの子たちが経済的に自活できるグループを実現したいというのがPIPのコンセプトです。
ただ、最初の一年は、任せるといっても僕自身がアイドル運営としてどんな業務があるのかわからなかったので、僕がやってきました。でも、一年経ってだいぶ業務プロセスが整理できてきたので、移譲できる部分はどんどんメンバーにまかせて、お金も出していこうと思っています。
もちろん、ブッキングだとか、やっかいなファンの対応など、すべて女性のメンバーにできるわけではないので、運営部分を完全にゼロにはできませんが、最小限にはできるだろうと思ったんです。
Q:なぜ、メンバー自身にまかせる仕組みを考えたのですか?
濱野:アイドルは、普通は10代からせいぜい大学卒業するまでで、部活の代わりにアイドル活動をする、というのが多いのではと思います。ところが、PIPのオーディションをしたら、年齢制限をかけなかったこともあって、20代以上の子がいっぱい来まして。その子たちは「10代のときはオーディションも通らなかったけど、やっぱりアイドルを諦めたくない。PIPがラストチャンスだと思う」という子が多かった。そういう子たちは、アイドルもすごく好きだし、変な話僕よりアイドルファンとしてのキャリアも長い。「本気度」も全然違う。
だったら、こういう20代の子たちこそがアイドルのプロデューサーに向いているんじゃないかと思いついたんですね。そして10代の若い子たちを組みあせれば、ほかのグループにはない組織体制が作れるんじゃないかと考えたんです。
Q:アイドルプロデューサーをやってみてどうでしたか?
濱野:これも予想どおりではありましたが、やっぱり地下アイドルだと、すぐみんなやめてしまいますね。良くも悪くも「部活感覚」だからなのか、もっと「華々しく売れる」と期待していたのが外れたのか、それはメンバーごとにそれぞれですが……。
うちは、僕がやる以上、当然ですがブラック企業でもないし、メンバーに過密なスケジュールを課しているわけでもないから、籍を置いておくだけでも全然OKにしていますし、実際そういうメンバーもいます。でも、学業や就職が理由で辞めるメンバーがいるのは仕方ない。変な話、やめるといったメンバーを僕が引き止めることも一切していません。アイドルは一生する仕事ではないから、どうしても絶対に「卒業」は避けられないと思うからです。
ただ、正直な気持ちとして、レッスンや衣装にとても大きなお金や時間をかけたりするのに、実にあっさりと簡単に辞められてしまうので、そこは正直つらいですね。プロデューサーをやると、アイドル不信になるかもしれません(苦笑)。まあ、アイドルの裏側は、ファンだったら知らなくていいことばかりなのは確かです。
Q:辞めて一番困ることは
濱野:歌詞ですね。とても残念なのは、僕としてはメンバーの個性を大事にした、「あてがき」の歌詞を書きたいんですよ。先日まで5曲くらい用意していたのですが、辞められると、その歌詞は使えないんですよね。
現状、地下アイドルの世界では、普通の対バンライブだと尺が15分とか20分しかもらえないので、いつもの「勝負曲」しか披露できません。ただ、僕としてはAKBからアイドルにハマったこともあり、もっと1時間や2時間と尺の長い「定期公演」に力を入れたいと思っています。PIPだけでオリジナルを10数曲披露して、そのうち2,3曲はけっこう変わった曲にすれば、メンバーの新しい魅力を見せたりすることもできるし、歌詞をメンバーに向けた「あてがき」にすることで、「物語性」の強い曲を作ることもできる。AKBの魅力はまさにそこにあると僕は個人的に思っていたので、僕なりにそれを実現したいなと思っています。だから、辞める気のない本気のメンバーだけでグループを固めて、今年はオリジナルの定期公演をきっちり完成させたいと思っています。
Q:衣装は、どのようにして決めましたか?
濱野:衣装は1着10万くらいかけてメンバーごとに採寸してつくりました。僕はアイドルグループだからこそ、きちんと体型にあった服を作るべきだと思っているんですね。よくあるのは、フリフリのヒラヒラがついていて、体型がごまかせるようなアイドル衣装。確かにこれなら太ったりしてもごまかせるけれど(笑)、僕はあえて逆で行きたいと思ったんです。
だからといって、お腹が出ているような露出が多い衣装を着せるのも僕はやりたくない。PIPは年齢の幅も大きいので、全員セクシーで行くわけにも行かないからです。なので、学校の制服風でやはり作ることにしました。ちなみに、PIPのいまの衣装は三段階で完成するというコンセプトで、シャツとスカートができており、まだジャケットが残っています。
今は、ぱっと見あまり可愛くない衣装だと思われるかもしれませんね。少なくともゴージャスな感じではない。ファンからも「もっとフリフリしろ」とか「かわいいのを着せてやれ」とか言われるんですが、まあ、そういうグループはたくさんあるし。今はあえて質素なところからスタートさせています。
Q:PIPでこれから、やっていきたいことは何ですか?
濱野:僕がいなくても回る体制を実現することですね。僕がいなくても、PIPの基盤やシステムが整備されていて、グループとして回っていくのが理想。変な話、アイドルは曲と衣装と方針が決まれば誰でもできてしまう。でも、その安易さに甘えることなく、うまくアイドルの経済的な持続性が保たれるように組織化するのが目標です。
アイドルだけじゃなくて、僕はアイドルファンをやっていましたから、アイドルファンの「持続性」も高めたい。というのも、やっぱりファンとしてはメンバーが辞めてしまうのが一番痛い。応援できなくなるというのは、いわばアイドルファンとしての「死」を意味していて、自分の存在意義も問われるんですよね。でも、アイドルってどんどん卒業するのが当たり前だから、だんだん麻痺していく。傷つくのが怖いから、卒業とか聞いてもなんとも思わないような、シニカルな心理状態になっていく。「どうせ辞めるんだろ」みたいな感じになっちゃうわけです。それは僕としては辛い。メンバーも、ファンの人たちの想いも、なるべく持続する仕組みが作りたいんですよね。そして、純粋に応援できるような、アイドルファンを初心に戻らせるグループにしたいと思っていて。そのためには、経済的な自律性と持続性を実現するしかないと僕は思っていて、一生この仕事は続けたいと思っているし、変な話、僕が死んだあとも回っていく組織にしたい。気が早いんですけど(笑)。
僕もどうしてここまでやる気なのかというと、アイドルって素晴らしいと本当に思うからです。「他人を全力で応援する」というのは、応援された側もうれしいし、結果応援した側も「誰かのために役立った」という手応えが何より嬉しいものです。社会学者として、今の日本社会でこうした「利他性」の喜びを感じられるのは、アイドルの世界だと本当に思っています。
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