横山由依、岡田結実ら出演 舞台『醉いどれ天使』が開幕

「醉いどれ天使」取材会より

黒澤明監督の名作映画を新たなスタッフ・キャストで舞台化した舞台『醉いどれ天使』が7日、東京・明治座で公演初日を迎え、女優の横山由依、岡田結実らが本番を前に行われた取材会に登場した。取材会にはほかに、北山宏光、渡辺 大、阪口珠美、佐藤仁美、大鶴義丹、演出の深作健太氏も登壇した。

本作は、2021年に上演した舞台版を元に、脚本は前回に続き蓬莱竜太氏が、演出はジャンルを越えて活躍する深作健太氏が務める。主演は、6年ぶりの主演舞台となる北山宏光が、闇市を支配する若いやくざ・松永を演じる。女性キャストでは、元AKB48の横山由依とタレントの岡田結実がWキャストで出演する。また、乃木坂46の阪口珠美、実力派女優の佐藤仁美さも重要な役どころを担い、作品に厚みを与える。不器用ながらも人間味あふれる登場人物たちが、現代に生きる私たちに問いかける衝撃の人間ドラマが展開される。

演出の深作氏は、本作が初めての舞台化ではないが、今回は「エンタメ化してロックである」という点にこだわったと語った。セット一つ一つにもメッセージを込め、そこにキャストが立つことで世界観の奥行きが広がるという。また、作品が当時の現代劇であったことに触れ、約40年後の今、時代劇として風化させないよう、現代の戦争や今後の平和に繋がるメッセージを持たせることを意識したと話した。

Wキャストでぎん役を務める横山さんは、稽古場で深作氏の演出を受けてきたものが、明治座の舞台で照明や音響と合わさることで「こういうことだったんだ」と見えてくることがあったと語り、お客さんに届けるのを楽しみにしている。明治座の最前列が非常に近いと聞いており、3階席の観客まで届くように演じたいと意気込んだ。深作氏の演出は細かく丁寧で、通し稽古でセリフが「一文字増える」ほどだと明かし、毎日変化していく舞台を楽しみにしている。

同じく、ぎん役の岡田さんは、深作氏と北山さんが目指す「超超かっこいい世界」が出来上がっており、そこについていくだけだと感じていると述べた。初舞台でプレッシャーを感じることもあったが、共演者と話す中で「この座組でみなさんとやれることが何よりも幸せ」と思えるようになったと、稽古場での楽しい雰囲気を伝えた。深作氏から「好きなぎんにしていい」と言われたことで心が軽くなり、自分らしい銀をのびのびと表現できたと話す。

七重役の阪口珠美さんは、名作に携わり、歴史ある明治座に立てることを大きな挑戦だと捉えている。闇市など当時の資料を読み込み、役作りに励んだことを明かし、七重の「生きたい、強くいたい」という強い気持ちを女性のエネルギッシュな雰囲気で伝えたいと語った。

佐藤仁美さんは、男性陣の男臭さの中に漂う哀愁やセクシーさに注目してほしいとアピールした。自身が演じる役については、北山さんが「佐藤さんの役はお酒を飲まないから」という理由で、新しい酔いどれのシーンが加えられたと話し、その演出にも触れた。

北山さんは、この作品が「このキャストでないとできない」ものであると強調した。ショウアップされ、ロックな演出でありながらも、芝居の重みを失っていないと語り、観客には楽しんでもらいつつ、何かしらのメッセージを受け取ってほしいと呼びかけた。また、自身の役を通じて、当時の人々がどう生き、どう心を動かし、どう死んでいったのかを伝えられることに、尊さと寂しさを感じていると明かした。特に、自身の役の結核による「咳」の演技について、私たちもパンデミックを経験したからこそ、当時の苦悩や生き様を繊細に感じ取ってほしいと語った。

公演は11月7日から23日まで東京・明治座、28日から30日まで名古屋・御園座、12月5日から14日まで大阪・新歌舞伎座で行われる。

公式サイト:https://www.yoidoretenshi-stage.jp/

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