「歌劇少女」たちの青春と友情を描くシリーズ最終章 舞台「かげきしょうじょ!!」第3章 The Final開幕(オフィシャルレポート)
1日に三越劇場にて開幕した舞台『かげきしょうじょ!!』第3章 The Final。ここでは開幕前日の10月31日に行われたゲネプロのオフィシャルレポートを届ける。
本作は、2012年から斉木久美子氏により連載中の漫画を原作とし、2023年から舞台化されたシリーズの第3弾で、最終章。未婚女性のみで構成された「紅華歌劇団」の劇団員を養成する「紅華歌劇音楽学校」を舞台に、「オスカル様」に憧れる天真爛漫な主人公・渡辺さらさと、未来のスターを目指す個性豊かな「歌劇少女」たちの青春と友情、奮闘を描く。
最終章となる今作は、原作の5巻から7巻の途中まで、アニメでは第十一幕から第十三幕(最終話)で描かれている<文化祭オーディション>のエピソードを主軸に物語が展開していく。
華麗なロココ調の装飾が施された三越劇場での今回の公演。開演前、アニメ版で紅華歌劇団トップスターの里美 星役を務める七海ひろきによる場内アナウンスが流れると、会場の豪華な空気感も相まって、観客は物語の世界に一気に引き込まれた。
物語は、それぞれが充実した夏休みを過ごし、さらさたち予科生たちが学校生活に戻ってきた場面から始まる。本科生にとっては紅華歌劇音楽学校での総決算となる文化祭に向けて、予科生たちは寸劇『ロミオとジュリエット』を行うことに。異例の出来事に浮き足立つ予科生たちだったが、ステージに立てるのはたったの4名。希望の役を勝ち取るべく、予科生40名による熾烈なオーディションが幕を開ける。
シリーズを通してさらさを演じる志田音々は、これまでも「ナチュラルボーンさらさ」と評されるほど見事にそのキャラクターを体現してきたが、本作でも明るく天真爛漫で、独自の才能を持つさらさを熱演。まさに原作から抜け出してきたとはこのことで、物語の主人公としての圧倒的な魅力と存在感を舞台上で全方位に放っていた。
今作では、オーディションを通して予科生たちの友情だけでなく、ライバルとの戦いや成長も描かれる。オーディションを通してそれぞれのキャラクターの過去や心の内が明かされたことで、紅華歌劇団への想いやお芝居への熱意がより明確に打ち出され、人物像に深みを持たせていた。
感情を表に出す方法を知らず、一見クールに見える奈良田 愛を演じた小越春花は、丁寧な演技で、愛の不器用な内面と、さらさとの友情により、演技への情熱に火がつく瞬間を表現して見せた。
優等生で仲間たちのまとめ役でもある杉本紗和を演じる佐々木琴子は、努力では埋められない才能を目の当たりにしながら、講師や先輩の言葉によって、自分の行くべき道を見つけてゆく紗和を、芯の通った台詞使いと、細やかな表情の演技で魅せ、胸を熱くさせた。
星野薫を演じた新谷姫加の優雅な所作も印象に残る。手の動き、体の動きだけで男役志望である薫の情熱を感じさせる技術に感嘆した。
そして、抜群の歌唱力を持つ山田彩子を演じた佐々木李子は演技だけではなく、圧巻の歌声を披露。アニメでも同役の声優を演じており、アーティストとしても活躍する彼女の生歌の歌唱は、これだけでも劇場に足を運ぶ甲斐があると思わせた。
双子の沢田姉妹を演じた中川梨花、岩田陽菜は今回が初参加、初コンビとは思えないほどのシンクロぶり。楽しい場面ではひたすらにチャーミングで、相当な稽古を重ねたのか、掛け合いも気持ちよくハマっており、作品全体を明るく照らす存在となっていた。
本科生の物語も見逃せない。第1章から野島 聖を演じる青山なぎさ、第2章から参加の三田美吹、そして本作から参加の小山内花凜の3人は、それぞれの立場から予科生を見守り、励ますだけではなく、紅華生としての誇りや、あるべき姿、目指すべき姿を自身の存在と演技で示していく。その凛とした姿や、それぞれが「歌劇少女」として物語を持つ彼女たちの存在が、本作の厚みとなって観客の感情を揺さぶっていく。
講師の小野寺 保役の鷲尾 昇、安道 守役の佐野瑞樹、大木芳子役の初風 緑の安定した芝居もこの作品の重要な要素だ。講師としての情熱を持ち、未来ある劇団候補生を導く立場である3人は、経験を積み重ねた3人の俳優が放つ舞台上での存在感そのままに、頼もしく、心強い存在となっていた。
また、本編後には、スピンオフエピソードとして回替わりの短いエピソードが上演されるのも本作の見どころのひとつ。ゲネプロでは千穐楽の「スペシャルレビューショー」が上演されたが、日替わりでさまざまなエピソードが用意されているので、ぜひそれらも楽しんでもらいたい。
The Finalと銘打たれた今作。名残惜しくもあるが、オーディションを終えた予科生たちがこの後、どのような成長を遂げ、スターを目指していくのか……は、連載中の原作で続きを楽しみつつ、俳優として輝きを放つ彼女たちの今後も見ていきたいと思わせる舞台だった。
なお、千穐楽の11月5日(水)にはRakutenTVにてライブ配信が決定しているとのこと。13時から開演で、アーカイブでの見逃し配信は11月12日(水)まで視聴可能だ。
(撮影:佐久間美沙)
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