【新井ひとみ インタビュー】約8年ぶりに舞台出演 “陰キャ”の占い師役にとまどい!?「普段の私は自由奔放にやらせていただいているので(笑)」
東京女子流のメンバー・新井ひとみさんが、28日より東京・六行会ホールで上演される舞台『摘む夢、きららと舞い込んで、』で主演する。ひとみさんにとってなんと8年ぶりとなる舞台出演、演じるのは“ド暗い”占い師役。明るく自由奔放な彼女とはかなり異なるキャラクター、さらに久々の舞台出演へということで、稽古が始まった当初はとまどいも少なくなかったようで……。
--この取材日は8月20日。稽古はそろそろ佳境に入っているのかもしれませんね。
「2週間くらい前から稽古に入って、昨日からは台本を全部外して粗通し稽古をしています。そして明日は衣装を着て稽古。舞台の稽古期間って意外とあっという間だなっていう気がしています。今回約8年ぶりの舞台で、最後が2016年かな(『読モの掟!2016』)。当時はまだ10代で。8年のブランクがあるので、舞台をやったことがないのに等しい状態ですよね(笑)」
--稽古初日は感覚を取り戻すのが大変だったのかもしれませんね。舞台ならではの声の出し方とか。
「“舞台ってこんな感じだったんだっけ?”という感覚で、びっくりする部分やできていないこともあって、自分の中で、“あ、舞台ってこれだった!”という感覚を改めて取り戻していた稽古初日でした。8年前は『ひとみちゃん、こうやったらいいんじゃない?』という感じで一から教えてもらったりしていたんですけど、そこから8年経って、もう26歳というのもありますし、自分自身しっかりしたいと思いました。今回、届いていた映像を見て自分の動きを確認して次の日の稽古に臨む、という感じなんですけど、普段は歌詞を覚えるのに、音楽に乗せて覚えるのですが、セリフがあって動きが出来上がる、という過程が違って、覚え方の違いにちょっととまどいもありました」
--舞台に限らず演技の経験はあるものの、今回は大きなインターバルがありましたからね。
「はい。東京女子流としてデビューする前のこと、お仕事をしたりオーディションを受けるために土日の度に(当時住んでいた宮城から)東京に来るという生活をしていて、その時代の経験で、演技への取り組み方はなんとなくはわかっていたつもりなんですけど……。当時覚えるのがすごく苦手で、オーディション会場で台本を渡されて、その場で覚えて、“それでは演じてください”と言われることもあって、どうしても緊張に耐えられなくて覚えられず、嫌だなぁ……って。覚えるのにちょっと苦手意識があったんです、もともと。それで今回『セリフを覚えるのが苦手で……』という話をしたときに、脚本・演出の23さんが、『舞台はみんなで動きながら、何回も何回も繰り返しやっていくから、セリフは徐々に覚えていけるよ』とお話をしていただいて。映像だと覚えていったものを1回の撮影で出すという形だけど、舞台は繰り返し繰り返し、みんなで作り上げていくので、ちょっとそこの安心感はあるのかなと。でも最初はすごく不安でした」
--その後稽古が進んで、演出家の方のアドバイスを実感できましたか?
「はい。みんなで動きながらやっていくうちに、“あ、ここでこのセリフが来るよね”というのがだんだん身についてきて、流れがつかめると、セリフが自然に入ってきます。やっぱり一人で台本と向き合っていると、動きも見えないですし、わかんないことだらけで、実際にみんなと一緒に演じると、“ああ、こういう流れで進むのね”と。みんなで作り上げられるものなんだなって感覚がわかりました」
--物語の舞台は占いの館「マーガレット」。定休日になぜかさまざまな人が集まってきて、次第に大きな事件へと繋がっていく……。ひとみさんは物語の主人公で、“ド暗い”占い師・きららを演じます。稽古が進む中で、自分の役柄がしっくり来るようになってきましたか?
「はい、徐々に。占い師なんですけど、“陰キャ”寄りというか、物静かな役柄で。普段の私はライブのときでも自由奔放にやらせていただいていて(笑)、全然違う性格なので、最初は演じるのに、“これで合ってるのかな、これくらい抑えないといけないのかな”と……」
--探り探りで。やっぱり素の自分とは違う役で試行錯誤しているんですね。
「はい。声の出し方も、物静かといっても、ぼそぼそとセリフを言うと客席に聞こえないじゃないですか。“これくらい出しちゃっていいのかな”とか“怒っているように聞こえないかな”とか、それも稽古しているときはわかんないんですけど、家に帰って、記録の映像を見たりして、自分の演技を客観的に見て研究しています」
--舞台経験が豊富な人って、ぼそぼそ言うセリフでも発声がしっかりしているのか、きちんと客席の隅々まで届いている印象です。
「どこから声を出しているのかというくらい、響き方が違うんですよ」
--そう、声の大小というより響き方ですよね。
「どうやって出しているのかなという疑問があって、聞いても特別なことはしていないみたいだし、舞台での経験を通して身につくものもあるし、もともと地の声が大きかったり、ということもあったり……。私は声が小さいことはないとは思っていて、わりと声は遠くに飛ばせるほうだと思ってるから、より、いつも以上に声を飛ばせるように、響かせられるように、というのを意識して今は稽古しています」
--今回きららを演じるにあたり、役作りで考えたことは?
「台本を読んで、自分なりにいろいろ考えました。陰な性格で、なんか挙動不審で……。自分がイメージした感じでは、会話がたどたどしい感じで、低い声で……、でもやっぱりそれじゃ声が届かないかなと思ったり。脚本が作られる前に23さんと、どういうキャラクターでいくのかを探るために、セリフを読んだりしたんですけど、そのときに『陰キャのような感じで読んでください』と言われて読んだときとは、また声の出し方が違っているし、最初の頃と今とではイメージが全然違うなという印象です」
--陰キャ女子のイメージを実際にひとみさんが演じているのを見ながら、演出家さんが試行錯誤された上で、今の役柄像になってきているのかもしれませんね。そして物語の中で、ひとみさんが演じるきららと対照的な存在が、石井陽菜さん演じる“明るさだけが取り柄”という弟子・ゆめです。
「二人の性格が真反対で、そのギャップをうまく表せたらいいなと思います」
--石井さんはじめ、現場はほぼほぼ「はじめまして」の方が中心ですよね。
「中には、もともとアイドルをやられてた方もいらっしゃるので、わかり合えることも多くて、帰り道にいろんなお話をして盛り上がったり……。稽古の最初の頃は自分のセリフを覚えることに集中しちゃって、あまり話せなかったんですけど、最近は“ここの部分どう思う?”とか、“こういうふうにしたほうがいい気がするんだよね”と意見を交換し合ったり、あとは食べ物の話とかしたり(笑)」
--最初の頃はあまりキャストとの会話もなく不安な中で、同じく東京女子流のメンバー・庄司芽生さんと一緒というのは心強かった?
「はい。でも、めいてぃん(庄司)との掛け合いお芝居はあるんですけど、稽古のときの席が離れているんですよ。だから稽古中はほとんど話すことはないんです。席が近い人と話すことが多くて、それがよかったのかもしれない。同じグループのメンバーが近くにいると、やっぱり話すのが楽だから……」
--ちょっと依存しちゃう?
「そう、それだとみなさんと話す機会が減ってしまうので」
--ここから本番に向けて、自分の中の課題や挑戦したいことなどはありますか?
「キャラクターをしっかり固めつつ、言い方や表情や動きの見せ方、どういう感じで感情を乗せるか、掛け合いでどう見せるか、などいろいろと考えています。稽古映像を見て、ここでこういう動きを入れられそうだなとか、こういう感情だからこういうふうに動いたらいいんじゃないかなとか、セリフがないところはどうやって動こうかなとか……うん、(課題ポイントは)セリフがないところですね! 今回はずっと出ずっぱりの役なので、しゃべっていないところをどう見せていくか、それが自分の中で課題なのかなって思います」
--口数が多くない役柄だから……。
「動きもそんなに派手な動きをするわけではないので……。静かに……紫の人が立っているみたいな(笑)」
--あとは、ゆめとのセッション感というか、実際に石井さんと舞台上で芝居することで、掛け合いの中でより面白さが生まれることもあるのかもしれません。
「そうですね。最近の稽古では石井さんとアイコンタクトがあって、“あ、ここで合わせられる”と思ったり、“もうちょっと立ち位置を近づけたほうが話しやすいよね”と言いながら調整したりしています。本読みのときから石井さんを見ていて、“わっ、すごい”と思っていて学ぶところがたくさんあって。ほかの共演のみなさんからも学ぶことがたくさんあるので、その発見を本番までに自分の中で落とし込んで、よりいいものにしていけるように頑張ります。これから衣装を着て演じることで、また変わることもあると思いますし」
--音楽ライブでもそうだと思うけど、衣装で気持ちが上がるというのはありますよね。
「そうですね。ライブでも衣装によってパワーをもらえるというか、気持ちが華やかになるんですけど、今回は華やかになりすぎないように気をつけなければというのもあります(笑)」
--上がりすぎても役柄に合わない(笑)。
「そう。落ち着いて落ち着いて……という感じで(笑)」
--今までにない、ひとみさんが見れそうで楽しみです。テンションが上がってるけど、静かに表すという表現も初めてなのかも。最後に、舞台を楽しみにしているみなさんに改めて伝えたいことはありますか。
「今回の作品は一度だけでなく、二度見ても三度見ても新しい発見があると思います。きららの表情だったり動きが、“あ、それに繋がってたのね!”とか、みんなの役柄にもいろいろそういう要素が散りばめられているので、何度も観ていただけるとわかってくると思います。舞台ってそういう楽しみ方もあると……」
--このときの表情が、後半のあそこの伏線になっている、とか?
「そう、とかとかとか! 私も友達の舞台を観に行くときに、一度だけ観ることが多いのですが、一度きりだと全体的に観てよかったという感じだと思うんですけど、繰り返し観ることで、“あ、この子のここの部分が……”と細かく焦点を当てながらも全体を観ることもできるんだなと思って」
--きららの場合、さっきも話に出た、セリフがないときの表情や動きだったり、クローズアップして見るのに見応えがある存在だと思います。
「はい(笑)。ぜひ、お楽しみにしていてください!」
〈プロフィール〉
新井ひとみ(あらい ひとみ)
1998年4月10日生まれ、宮城県出身。2010年、ガールズグループ「東京女子流」のメンバーとしてデビュー。舞台出演は『増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和』(2015年)、『読モの掟2016』(2016年)に続いて3作目。
咲女花劇「摘む夢、きららと舞い込んで、」は、8月28日(水)~9月1日(日)、六行会ホールで上演。出演は、 新井ひとみ(東京女子流)、石井陽菜、北野瑠華、佐藤遥、庄司芽生(東京女子流)、梅原サエリほか。
●その他キャスト、スタッフ、ストーリーなど詳細情報は公式サイトにて
https://www.shoujo-kageki3-kirara.com/
●チケットの販売情報は下記より
https://t.livepocket.jp/t/uhe-u
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