今年7月にアイドルグループ「ゆるめるモ!」を卒業した“もね”こと“櫻木百”さんが、卒業後に初めて主演する映画『うつろいの標本箱』が渋谷ユーロスペースで10月29日(土)より、レイトショー公開される。
本作は、孤高のミュージシャンと呼ばれるシンガーソングライター“黒木渚”さんのファーストアルバム『標本箱』の楽曲をモチーフに、期待の若手監督“鶴岡慧子”さんが作り上げた、6人の女性をめぐる、もうひとつの「標本箱」だ。
GirlsNews では、本作の主演に抜擢された櫻木百さんに単独インタビューを行ない、話をうかがった。
■まずは撮影までの経緯を聞かせてください
「映画出演は3作目なんですが、実は撮影は2年ほど前に行われていて、当時の運営さんを通じて監督さんからオファーをいただきました。オーディションで選ばれた他の出演者さんと一緒に撮影前にワークショップを通じて役を作っていくというやり方でした」
■役作りはいかがでした?
「監督さんから、イメージが似ているので、私のキャラクターを活かして素に近い感じでやってくれればいいよと言われました。特に意識せずに自然に役作りができたので、そこはやりやすかったです」
■どういう役柄ですか
「イツキという大学生の女の子です。片思いの男の子がいて、少し小悪魔っぽいところがあります」
■劇中では、その男の子が他の女性のヌードをデッサンする場面がありますが、女の子としてどんな心境でしょう?
「私だったら、好きな人がほかの女性の裸を見ているという、その状況がイヤですね。考えたくもないです」
■櫻木さん自身は片思いの経験は?
「学校の先生にしたことはあるんですけど、あまりないですね」
■告白のシーンがありますが、自分から告白する方ですか
「したことがないです。してみたいとは思うんですけど、そこまでになったことがなくて(笑)、 普通の人はどうやって告白しているんだろうと、表情の作り方だったり、あのシーンがいちばん難しかったですね」
■最初に歌を歌うシーンが印象的ですね
「女性陣はそれぞれアカペラで黒木渚さんの歌を歌う場面があるのですが、私は冒頭で歌っているので、観たときにとても恥ずかしかったですね。そこだけは観た方の感想を聞きたくないくらいです(笑)」
■撮影で大変だったことは?
「外のロケは雨上がりに撮影したんですが、寒くてお手洗いもないので大変でした。現場に着いたときにはまだ少し雨が降っていたので、私の髪がすごく濡れちゃって。ドライヤーが使えないので、スタッフさんがタオルで必死に拭いてくれたんですけど、撮影中に”あ、また降って来ちゃった”って感じで大変でした」
■作品は登場人物がすれ違いながら、それぞれのエピソードが展開していきますが、撮影の様子は?
「ワークショップではみんな一緒だったのですが、シーンごとに出演者が分かれて撮影しました。他の撮影現場には行ってなかったので、全体がどうなっているか分からなかったですね。完成した映像を観てから”ああ、こう繋がってるんだ”と納得しました」
■完成した作品を観ていかがでした?
「けっこう、私が描いていたイメージに近くて”こういう感じになるのかな”と思った通りでした。すごく映像がきれいで、そこが一番よかったです。個人的にも是枝裕和監督の『空気人形』や、最近では二階堂ふみさん主演の『蜜のあわれ』みたいな、映像がきれいで奥深い映画が好きなので、とても気に入りました」
■共演者については?
「撮影では大学生の4人組のシーンが多かったんですが、他の3人がすごく自然に話してる感じでしたね。3人の空気感の作り方が上手くて助けられたので、私も習得したいです。会話は最初から脚本通りというものではなくて、ワークショップで設定を決めて、その場で役柄と一緒にアドリブで作っていった感じです。他の出演者さんもすごく上手でしたが、その3人のリード力がすごくて、とても勉強になりました」
■監督の鶴岡慧子さんの印象は?
「好きにやっていいというタイプで、すごくやりやすかったですね。私が”ここはこうなんじゃないかな?” ってやってみて、監督さんから”それいいんじゃないの” って言ってもらう感じで進められて。今回は本当にやりやすかったです」
■作品全体としての見どころは?
「この作品は黒木渚さんのアルバムの曲がモチーフになっていて、黒木さんの歌を女性のキャストが歌うところが見どころだと思います。私のファンの方には、グループの時とはまた違った私が見られると思うので、楽しみにして欲しいです」
■アイドルグループを卒業して現在の心境は?
「今年の7月まで、ずっとライブが多かったんですけど、完全燃焼しました。”終わった~” って感じで全てやりきったので、一区切りついて落ち着いたところです」
■今後は女優を中心に活動されるのでしょうか
「まだどう進んで行くかハッキリ決まってないのですが、演技のお仕事は好きなので続けていきたいです」
【鶴岡慧子監督】
長編第一作『くじらのまち』がベルリン国際映画祭をはじめ、世界10ヶ国以上で上映され好評を博し、続く『過ぐる日のやまねこ』(2015)が第15回マラケシュ映画祭で審査員賞を受賞するなど今まさに活躍を期待される若手監督のひとり。本作では、黒木渚の『標本箱』の楽曲群から連想する形で脚本を書き、歌詞で描かれる女性の強さや揺れる想いを、6人の登場人物に託し、ささいな日常の中で生まれる様々な感情や出来事を点描のように描いて、アルバムとは異なるもうひとつの、<うつろいの>標本箱として完成させた。
【黒木渚】
まるで映画のような、舞台のような音楽と評され、独特の文学的歌詞で、女性の強さや心理を生々しく歌い上げるシンガーソングライター。ソロ始動後初の新作となるフルアルバム『標本箱』は、2014年4月に発表されるやいなや、各方面で話題となり一躍認知を広めた。
映画『うつろいの標本箱』は、渋谷ユーロスペースで10月29日(土)より11月11日(金)まで連日21:00より上映。期間中はイベントなども予定されている。
『うつろいの標本箱』オフィシャルサイト
http://hyohonbako.com/index.html
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